すでにMonthly Report Vol.13で「2011年3月期を迎えるに当たっての事前検討事項」を解説していますが、3月決算会社にあっては、2011年3月期もいくつかの新たな会計基準等が適用となります。
本稿では、主に3月決算会社を対象に、当第1四半期から適用となる会計基準等及び既に前期に適用されているものの四半期に関しては当第1四半期が初めての適用となる会計基準等について、適用初年度の取扱いや年度末との相違点を中心に実務上の最終チェックポイントを解説します。また、東京証券取引所から四半期決算短信の新様式が公表されていますので、この点も解説することとします。
なお、本稿の意見に関する部分は、筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りします。
1. 2011年3月期から適用される会計基準等
(1) 「資産除去債務に関する会計基準」(企業会計基準第18号)、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第21号)
資産除去債務の会計処理は、有形固定資産の除去に伴う支出の不可避的な義務が存在する場合に、その発生時における現在価値を負債に計上するとともに、同額を有形固定資産の帳簿価額に加えて、減価償却を通じて各期に費用配分し、その現在価値と割引前の将来キャッシュ・フローとの差額を時の経過による調整額として費用計上していくものです。
(最終チェックポイント)
資産除去債務の範囲-
資産除去債務の対象は「法令又は契約で要求される法律上の義務及びそれに準ずるもの」とされており、「この場合の法律上の義務及びそれに準ずるものには、有形固定資産を除去する義務のほか、有形固定資産の除去そのものは義務でなくとも、有形固定資産を除去する際に当該有形固定資産に使用されている有害物質等を法律等の要求による特別の方法で除去するという義務も含まれる」とされています。
上記の定義に基づいて、各社においては各工場・支店・営業所等について、原状回復義務や有害物質の除去義務等の有無に関し、網羅的な検討がなされているか最終確認する必要があります。
資産除去債務の計上の要否有形固定資産の除去に関する法律上の義務が存在する場合には、資産除去債務を原則として計上することになりますが、資産除去債務を合理的に見積ることができない場合には、資産除去債務を計上せず、当該債務を合理的に見積ることができるようになった時点で負債として計上することとなります。この「資産除去債務を合理的に見積ることができない場合」の解釈については、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」設例8に本社オフィスの資産除去債務を合理的に見積もれない事例が掲記されているからといって、単に本社社屋等を賃貸借契約で利用しているという事実だけをもって合理的に見積ることができない場合と考えてよいということではなく、決算日現在入手可能なすべての証拠を勘案し、最善の見積りを行ってもなお、合理的に金額を算定できない場合が該当するのであり、合理的に算定できないと簡単に結論付けることはできないものと思われますので、この点はご留意ください。
資産除去債務に係る税効果会計の適用-
会計上、負債として計上した資産除去債務は、将来実際に除去された時に将来の課税所得計算において減算されることとなるため、将来減算一時差異に該当するものと考えられます。
繰延税金資産の回収可能性を検討する場合に、資産除去債務に係る一時差異が解消される時点は当該資産が実際に除去された時点と考えられますので、一時差異等のスケジューリングの実施に当たっては、両者に不整合が起きないようにしておく必要があると考えられます。
資産除去債務の期首残高の算定-
適用初年度にあたる当第1四半期における期首残高の算定は次のように行い、(
)と(
)の差額は、原則として特別損失に計上します。- (
) 適用初年度の期首における既存資産に関連する資産除去債務は、適用初年度の期首時点における割引前将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率により計算を行います。 - (
) 適用初年度の期首における既存資産の帳簿価額に含まれる除去費用は、資産除去債務の発生時点における割引前将来キャッシュ・フローの見積り及び割引率が、適用初年度の期首時点と同一であったものとみなして計算した金額から、その後の減価償却額に相当する金額を控除した金額とします。
- (
四半期における注記事項-
年度末においては、資産除去債務の会計処理に関して、下記を注記することになります。
- (
) 資産除去債務の内容についての簡潔な説明 - (
) 支出発生までの見込期間、適用した割引率等の前提条件 - (
) 資産除去債務の総額の期中における増減内容 - (
) 資産除去債務の見積りを変更したときは、その変更の概要及び影響額 - (
) 資産除去債務は発生しているが、その債務を合理的に見積ることができないため、貸借対照表に資産除去債務を計上していない場合には、当該資産除去債務の概要、合理的に見積ることができない旨およびその理由
これに対して、四半期においては、資産除去債務が会社の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、当該資産除去債務の四半期(連結)貸借対照表計上額その他の金額に前事業年度(前連結会計年度)の末日に比して著しい変動が認められる場合には、変動の内容と当四半期(連結)累計期間における資産除去債務の総額の増減を記載することとされています。
ただし、適用初年度にあたる当第1四半期においては、前事業年度(前連結会計年度)に資産除去債務が計上されていないことから、適用開始初年度の期首に計上された金額と比較して著しい変動がある場合に記載することが適当と考えられます。
- (
(2) 「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号)、「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号)
これまで「事業の種類別セグメント」、「所在地別セグメント」、「海外売上高」という区分で開示されてきたセグメント情報が、マネジメントアプローチに基づく開示に変更されました。
(最終チェックポイント)
マネジメントアプローチによるセグメント区分-
マネジメントアプローチとは、経営上の意思決定を行い、業績を評価するために、経営者が企業を事業の構成単位に分別した方法を基礎とする考え方です。
したがって、セグメント区分や利益金額が、最高意思決定機関(取締役会・経営会議等)において経営上の意思決定を行い、業績を評価するための報告の中で使用されている情報と同一のものとなっているのか最終確認しておく必要があります。
また、「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」に記載されている報告セグメントの決定に係るフローチャートに基づき、報告セグメントが正確に決定されているか確認しておく必要があります。マネジメントアプローチにおいては、報告セグメントを決定する方法は企業によって異なることとなるため、後述のとおり注記事項として、報告セグメントの概要(報告セグメントの決定方法、各報告セグメントに属する製品及びサービスの種類)を開示しなければなりません。したがって、財務諸表利用者が適切にセグメント情報を理解することができるように、報告セグメントの決定方法として、事業セグメントを識別するために用いた方法や複数の事業セグメントを集約したか否か等について開示する必要があります。
適用範囲従来は、セグメント情報等は連結財務諸表の注記事項とされ、個別のみ開示している会社においては作成する必要がありませんでしたが、新基準では個別のみ開示している会社においてもセグメント情報等の開示が必要とされる点に留意が必要です。
四半期における注記事項-
年度末においては以下の項目が開示対象とされています。
- (
) セグメント情報
- a. 報告セグメントの概要
- b. 報告セグメントの利益(損失)、資産、負債及びその他の重要な項目の額並びにその測定方法に関する事項
- c. 財務諸表計上額との間の差異調整に関する事項
- (
) 関連情報
- a. 製品及びサービスに関する情報
- b. 地域に関する情報
- c. 主要な顧客に関する情報
- (
) 固定資産の減損損失に関する報告セグメント別情報 - (
) のれんに関する報告セグメント別情報
これに対して、四半期においては開示の適時性に鑑みて、一部が簡略化された以下の項目が開示対象とされています。
- (
) 報告セグメントの利益(又は損失)及び売上高 - (
) 企業結合や事業分離などによりセグメント情報に係る報告セグメントの資産の金額に著しい変動があった場合には、その概要 - (
) 報告セグメントの利益(又は損失)の合計額と四半期連結損益計算書の利益(又は損失)計上額の差異調整に関する主な事項の概要 - (
) 報告セグメントの変更又は事業セグメントの利益(又は損失)の測定方法に重要な変更があった場合には、変更を行った四半期会計期間以後において、その内容 - (
) 当年度の第2 四半期以降に(
)の変更があった場合には、第2 四半期以降に変更した理由 - (
) 前年度において(
)の変更を行っており、かつ、前年度の四半期と当年度の四半期の(
)の報告セグメントの区分方法又は利益(又は損失)の測定方法との間に相違が見られる場合には、その旨、変更後の方法に基づく前年度の(
)及び(
)の事項 - (
) 固定資産について重要な減損損失を認識した場合には、その報告セグメント別の概要 - (
) のれんの金額に重要な影響を及ぼす事象(重要な負ののれんを認識する事象を含む。)が生じた場合には、その報告セグメント別の概要
年度との比較を整理すると、四半期においては(
)a.報告セグメントの概要、(
)b.のうち負債及びその他の重要な項目、(
)関連情報は注記が不要とされています。また、(
)b.のうち資産や測定方法に関する事項は著しい変動・重要な変更があった場合に注記することとされています。さらに、(
)c.については利益に関する調整のみが注記事項とされています。その他、セグメント区分に変更があった場合には一定の注記が必要となります。減損損失・のれんは重要性がある場合に注記することとされています。ただし、適用初年度にあたる四半期においては、特別な取扱いがいくつか定められているため、留意が必要です。すなわち、四半期では開示が要求されない報告セグメントの概要について、適用初年度にあっては前年度の有価証券報告書に記載がないことから、各四半期において開示する必要があります。また、四半期における注記(
)、(
)及び(
)は適用初年度においては開示が不要とされています。 - (
前期のセグメント情報の取扱い-
適用初年度において、当年度のセグメント情報とともに報告される前年度のセグメント情報については、原則として、前年度において従来までの取扱いにより開示したセグメント情報とあわせて、本会計基準に準拠して作り直した前年度のセグメント情報を開示するものとされています。
しかしながら、これを開示することが実務上困難な場合には、当年度のセグメント情報を前年度のセグメント情報の取扱いに基づき作成した情報を開示することができます。この場合、実務上困難な旨及びその理由を記載する必要があります。また、上記の開示はセグメント情報に開示するすべての項目について記載するものとされていますが、一部の項目について記載することが実務上困難な場合は、その旨及びその理由を記載する必要があります。
四半期報告書上の関連する記載セグメント区分を変更した場合には、四半期報告書における「事業の内容」、「生産、受注、販売の状況」、「財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」などセグメント情報に関連付けて記載する箇所の開示には十分留意する必要があります。
(3) 「企業結合に関する会計基準」(企業会計基準第21号)、「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)、「『研究開発費等に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第23号)、「事業分離等に関する会計基準」(企業会計基準第7号)、「持分法に関する会計基準」(企業会計基準第16号)(2008年12月26日公表分)、「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第10号)
2008年12月26日に、企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」等が公表され、 2008年までの短期コンバージェンス・プロジェクトとして掲げられていた企業結合(連結を含む)に関する会計基準等が改正されました。
(最終チェックポイント)
以下のように会計処理が変わっています。2010年4月1日以後に実施される企業結合及び事業分離等から適用となることから、内容を十分に把握しておくことが必要です。
持分プーリング法の廃止従来の持分プーリング法が廃止され、共同支配企業の形成及び共通支配下の取引以外の企業結合は取得となり、パーチェス法により処理されます。 したがって、従来の会計基準では持分の結合に該当する企業結合であっても、共同支配企業の形成に該当する場合を除き、いずれかの結合当事企業を取得企業として決定しなければならないこととなります。
取得企業の決定方法持分プーリング法の廃止に伴い、結合当事企業のいずれが取得企業であるかの判断が困難となることも想定されるため、取得企業の決定方法が改正されています。
株式を取得対価とする場合の当該対価の時価の測定日従来は、市場価格のある取得企業(又は分離先企業)の株式が取得の対価(又は受取対価)として交付される場合における取得の対価(又は受取対価)となる財の時価は、 原則として、その企業結合(又は事業分離)の公表日前の合理的な期間における株価を基礎にして算定することとされていましたが、株式を取得の対価とする場合、当該対価の時価は企業結合日(又は事業分離日)における株価を基礎として算定することとされています。
負ののれんの会計処理従来は、20年以内の取得の実態に基づいた適切な期間で規則的に償却することとされていましたが、発生した事業年度の利益として処理し、原則として特別利益に計上することとされています。ただし、負ののれんが生じると見込まれる場合には、まず、すべての識別可能資産及び負債が把握されているか、また、それらに対する取得原価の配分が適切に行われているかどうかを見直す必要があります。
少数株主持分の測定連結財務諸表作成に当たり、子会社の資産および負債について部分時価評価法が廃止され、全面時価評価法により評価することとなっています。
段階取得における会計処理従来は、取得が複数の取引により達成された場合(段階取得)における被取得企業の取得原価は、支配を獲得するに至った個々の取引ごとの原価の合計額によることとされていましたが、連結財務諸表においては、段階取得の場合の被取得企業の取得原価を、支配を獲得するに至った個々の取引の原価をすべて企業結合日における時価で算定し、当該取得原価と当該支配に至った個々の取引ごとの原価の合計額との差額は、当期の損益として処理することとなっています。
企業結合により受け入れた研究開発の途中段階の成果の会計処理等-
従来は、被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には、取得原価を当該無形資産等に配分することができ、また、取得企業が取得対価の一部を研究開発費等(ソフトウェアを含む)に配分したときは、当該金額を配分時に費用処理することとされていました。
しかしながら改正後は、被取得企業から受け入れた資産に識別可能な無形資産が含まれる場合には、原則として資産計上することとなっています。なお、研究開発の途中段階の成果を資産として識別した場合には、当該資産は企業のその後の使用実態に基づき、 有効期間にわたって償却処理することとなります。ただし、研究開発が完成するまでは当該無形資産の有効期間は開始しないことに留意する必要があります。
その他-
- (
) 在外子会社株式の取得等で生じたのれんの会計処理 在外子会社株式の取得等により生じたのれんは従来、発生時の為替相場で換算されていましたが、改正後は、在外子会社等の財務諸表項目が外国通貨で表示されている場合には、当該外国通貨で把握し、 決算日の為替相場により換算することとなっています。なお、当該外国通貨で把握されたのれんの償却額については、当該在外子会社等の他の費用と同様に換算します。
- (
) 共同支配投資企業における、共同支配企業に対する投資の連結財務諸表上の会計処理 共同支配投資企業は従来、共同支配企業に対する投資について持分法に準じた処理方法を適用していましたが、改正後は持分法を適用することになっています。 したがって、共同支配企業に対する投資の取得原価と共同支配企業の資本のうち共同支配投資企業の持分比率に対応する部分との差額は従来、 処理されず、のれん(又は負ののれん)及び持分変動差額は生じませんでしたが、今後は処理されることとなります。
- (
) 連結損益計算書における純損益計算の区分の表示 税金等調整前当期純利益に法人税額等を加減したものを、新たに少数株主損益調整前当期純利益として表示し、これに少数株主損益を加減することで当期純利益を表示することになっています。
- (
適用初年度の取扱い-
上記会計基準等を2010年4月1日から適用した場合には、会計方針の変更として取り扱います。
部分時価評価法から全面時価評価法への変更を除き、これらの会計基準等の適用前に実施された企業結合及び事業分離等に関する会計処理及び注記事項についての従前の取扱いは継続されます。
また、部分時価評価法から全面時価評価法への変更による影響額を除き、会計方針による影響額の注記は必要とされていません。
(4) 「持分法に関する会計基準」(企業会計基準第16号)(2008年3月10日公表分)、「持分法適用関連会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告24号)
2008年3月10日に持分法に関する会計処理の原則及び手続の統一についての会計基準等が公表され、同時に当面の取扱いも定められています。
(最終チェックポイント)
会計処理の原則及び手続の統一
- (
) 原則的な取扱い 同一環境下で行われた同一の性質の取引等について、投資会社(その子会社も含む)及び持分法を適用する被投資会社が採用する会計処理の原則及び手続は、原則として統一します。
- (
) 当面の取扱い 持分法を適用する被投資会社については、連結子会社に準じて「親子会社間の会計処理の統一に関する当面の監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会報告56号、以下「56号」)、「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い」(実務対応報告18号)に準じた取扱いを行うことができます。
なお、在外関連会社で投資会社に他の支配株主が存在する場合など、統一のために必要な情報を入手することが極めて困難と認められるときには56号の「統一しないことに合理的な理由がある場合」にあたるものとされます。
2. 既に2010年3月期の年度末から適用されているが、四半期については2011年3月期第1四半期からが原則適用となる会計基準等
以下の会計基準等は、2010年3月期の年度末から既に適用されていますが、四半期に関しては2011年3月期第1四半期から初めての適用となりますので留意が必要です。
(1) 「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第20号)、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第23号)
(最終チェックポイント)
四半期における注記事項-
年度においては、(
)賃貸等不動産の概要、(
)(連結)貸借対照表計上額及び期中における主な変動、(
)時価及び算定方法、(
)賃貸等不動産に関する損益を注記することとされています。これに対して、四半期においては、当該賃貸等不動産の四半期(連結)貸借対照表計上額その他の金額に前事業年度(前連結会計年度)の末日に比して著しい変動が認められる場合には、四半期(連結)貸借対照表日における当該賃貸等不動産の時価及び四半期連結貸借対照表計上額を注記することになります。すなわち、年度における(
)貸借対照表計上額及び(
)時価のみが注記対象とされており、さらに著しい変動が認められる場合に限定されています。
著しい変動著しい変動については、例えば、賃貸等不動産を新たに取得した場合や除売却した場合の他、時価の変動も該当することとなりますので、留意が必要です。年度における注記の重要性を加味して開示の要否を検討することが必要と考えられます。
(2) 「金融商品に関する会計基準」(改正企業会計基準第10号)、「金融商品の時価等の開示に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第19号)
(最終チェックポイント)
四半期における注記事項-
年度においては、金融商品全般に関して、金融商品の状況に関する事項(定性的情報)及び金融商品の時価等に関する事項(定量的情報)を注記することが必要とされています。
これに対して、四半期においては、金融商品に関する四半期(連結)貸借対照表の科目ごとに、会社の事業の運営において重要なものとなっており、かつ、四半期(連結)貸借対照表計上額その他の金額に前事業年度(前連結会計年度)の末日に比して著しい変動が認められる場合には、四半期(連結)貸借対照表の科目ごとの四半期(連結)貸借対照表日における四半期(連結)貸借対照表計上額、時価及び当該四半期(連結)貸借対照表計上額と当該時価との差額並びに当該時価の算定方法を注記することになります。ただし、適時に、正確な金額を算定することが困難な場合には、概算額を記載することができます。
さらに、これらに加えて、(
)時価のある満期保有目的の債券については、四半期(連結)会計期間末における時価及び四半期(連結)貸借対照表計上額とその差額、(
)時価のあるその他有価証券については、有価証券の種類(株式及び債券等)ごとに四半期(連結)会計期間末における四半期(連結)貸借対照表計上額及び取得原価又は償却原価とその差額、(
)デリバティブ取引(ヘッジ会計が適用されているものは除くことができる。)については、取引の対象物の種類(主な通貨、金利、株式、債券及び商品等)ごとの契約額又は契約において定められた元本相当額、時価及び評価損益を記載するとされています。年度末と比較した場合、四半期においては定性情報、定量情報のうち金銭債権等の償還予定額、有利子負債の返済予定額の注記は必要とされていません。
3. 四半期決算に係る適時開示の見直し
東京証券取引所は、2010年6月29日に有価証券上場規程等を改正しました。その内容は、四半期決算に係る適時開示の見直し、国際会計基準(IFRS)任意適用会社対応等を図るものです。また、2010年6月1日には四半期決算短信様式・作成要領を策定・公表し、2010年6月末日以降に終了する四半期決算に係る開示から適用することとしています。
(1) 適時開示の時期の見直し
従来は、すべての上場会社に対して一律に、四半期末後30日以内に開示することが望ましいものとされてきましたが、具体的な開示時期の目安を示すことが取りやめられました。ただし、四半期決算の内容が定まった場合は直ちに開示しなければならないことに変更はなく、遅くとも四半期報告書の提出までには適時開示を行う必要があります。
(2) 適時開示の内容の見直し
従来の東京証券取引所による画一的な開示を求める枠組みを最小限にとどめることとし、原則として上場会社の判断によって、投資者ニーズに応じて的確な開示内容を選択できるよう見直しが行われています。
(3) その他見直し
投資者に対しての注意喚起から、四半期決算短信にレビュー手続の実施状況を記載することとなります。
また、上場会社・投資者の双方の実務を合理化することから、従来軽重にかかわらず直ちに必要だった訂正情報の開示を重要なものに限定することとされています。
以上
太陽ASG有限責任監査法人
公認会計士 杉江 俊志
text : shunshi sugie












