2011年12月2日に「経済社会の構造の変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律」(以下、「改正法人税法」という)及び「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下、「復興財源確保法」という)が公布されました。改正法人税法では法人税率の引き下げや、減価償却制度、欠損金の繰越控除制度及び貸倒引当金制度の見直し等が、復興財源確保法では復興特別法人税の創設等が定められており、企業の税金計算はもちろん、税効果会計の適用にも影響が生じます。

そこで本稿では、改正法人税法及び復興財源確保法の施行(以下、「税制改正」という)により企業会計(特に税効果会計)に与える影響について解説します。なお、本文中、特段の断りがない限りは、税務上の中小法人等以外で連結納税制度を採用していない法人の2011年12月2日以降の決算(四半期決算を含む。以下同様)を前提としていること、及び、意見にわたる部分は筆者の個人的な見解であることを、あらかじめ申し添えます。

1. 主な税制改正の概要

(1) 法人税率の引き下げ

2012年4月1日以後開始事業年度の所得に対する法人税率が、30%から25.5%に引き下げられます。

(2) 復興特別法人税の創設

2012年4月1日から2015年3月31日までの期間内に最初に開始する事業年度の開始の日から同日以後3年を経過する日までの期間内の日の属する事業年度において、復興特別法人税が課税されます。たとえば、3月決算会社であれば2013年3月期から2015年3月期が、12月決算会社であれば2013年12月期から2015年12月期が該当します。

復興特別法人税の課税標準は基準法人税額(各種税額控除を考慮しないで計算した法人税額(付帯税額を除く))であり、これに10%を乗じたものが税額となります。

(3) 欠損金の繰越控除制度の見直し

2012年4月1日以後開始事業年度の欠損金及び災害損失金の繰越控除限度額が、繰越控除前所得金額の80%相当額に制限されます。

一方で、2008年4月1日以後終了事業年度において生じた欠損金及び災害損失金の繰越期間が、7年から9年に延長されます。

(4) 250%定率法の見直し

改正法人税法等の公布に合わせて改正法人税法施行令が公布され、2012年4月1日以後に取得する減価償却資産について適用することができる定率法は、いわゆる250%定率法から200%定率法に変更されます。

なお、本改正は取得日を基準とするものであり、3月決算会社以外の会社にあっては期中からの減価償却方法の変更となることから、2012年4月1日より前に開始し、同日以後に終了する事業年度においては、同日以降に取得したものであっても250%定率法を適用できるとする経過措置が設けられています。たとえば、従来から250%定率法を適用している12月決算会社であれば、2012年12月期に取得したものは(2012年4月1日から2012年12月31日の間に取得したとしても)250%定率法が適用できることになります。

(5) 貸倒引当金制度の見直し

貸倒引当金制度の適用が、以下の法人に限定されます。

  • 中小法人等
  • 銀行、保険会社その他これに準ずる法人
  • 売買があったものとされるリース資産の対価の額に係る金銭債権を有する法人等

ただし、上記以外の法人においても当面の間は貸倒引当金制度を適用できるようにするため、以下のとおり、年度に応じた繰入限度額の経過措置が設けられています。

  • 2012年4月1日から2013年3月31日に開始する事業年度:現行規定の4分の3
  • 2013年4月1日から2014年3月31日に開始する事業年度:現行規定の4分の2
  • 2014年4月1日から2015年3月31日に開始する事業年度:現行規定の4分の1

2. 税制改正が税効果会計に与える影響(概論)

(1) 法定実効税率の低下

2012年4月1日以後開始事業年度からは法人税率が引き下げられる一方、最初の3カ年は復興特別法人税が課されるため、この間の法定実効税率は、以下のとおり、38.01%となります(東京都の場合。以下同様)。

復興特別法人税がなくなる2015年4月1日以後開始事業年度からは、以下のとおり、35.64%となります。

(2) 繰延税金資産(負債)の計算に際して適用すべき法定実効税率

税効果会計上で適用する税率は決算日現在における税法規定に基づく税率であり、決算日までに改正税法が公布され、将来の適用税率が確定している場合には、改正後の税率を適用します(個別税効果実務指針18項、連結税効果実務指針11項)。

したがって、改正法人税法及び復興財源確保法の公布日である2011年12月2日以後に決算日を迎える決算においては、改正後の税率を適用します。改正後の将来の適用税率は年度によって異なるため、税効果会計上は、将来減算(加算)一時差異等のスケジューリング結果に応じて適用すべき法定実効税率が異なります。たとえば、3月決算会社を前提とすると、以下のとおりです。

将来減算(加算)一時差異等の
解消見込年度
法定実効税率
 2013年3月期 38.01%
 2014年3月期 38.01%
 2015年3月期 38.01%
 2016年3月期以降 35.64%
(3) 税率変更による繰延税金資産(負債)計上額の修正

決算日現在における改正後の税率を用いて当期首における繰延税金資産(負債)の金額を修正し、その結果として生じた修正差額は損益計算書上、法人税等調整額に加減して処理します。

ただし、有価証券評価差額のように、資産又は負債の評価替えによって生じた評価差額が直接、純資産の部に計上される場合には、修正差額を当該評価差額に加減して処理します(個別税効果実務指針19項)。

3. 税制改正が税効果会計に与える影響(各論)

(1) 繰越欠損金に対する税効果会計

繰越欠損金の繰越控除限度額が繰越控除前所得金額の80%相当額に制限されたことに伴い、繰越欠損金の充当スケジューリングに際しては留意が必要です。

たとえば、3月決算会社を前提にスケジューリング例を示すと、以下のとおりとなります(実務対応報告第28号「改正法人税法及び復興財源確保法に伴う税率変更等に係る四半期財務諸表における税金費用の実務上の取扱い」(以下、「四半期税効果の実務上の取扱い」という)[設例2]を参考に作成)。

12/3末 13/3期 14/3期 15/3期 16/3期 17/3期 合計
欠損金控除前
課税所得見込
100 110 90 110 90 500
欠損金充当 80※1 88 72 88 72 400
欠損金控除後
課税所得
20 22 18 22 18 100
欠損金残高 600 520 432 360 272 200※2
  • ※1:100×80%
  • ※2:2009年3月期に発生した欠損金であるとすると、繰越期間は9年のため、2018年3月期に期限切れとなる

上記のスケジューリング例において、今後5年間の課税所得の見積額を限度として繰越欠損金に対する繰延税金資産を計上できるとすると、充当が見込まれる繰越欠損金400に対する繰延税金資産が計上できることとなります。

(2) スケジューリング不能な一時差異に対する税効果

スケジューリング不能な一時差異は、税務上損金又は益金算入時期が不明確な一時差異であるため、復興特別法人税が課される事業年度内に損金又は益金算入されるとはいえません。したがって、復興特別法人税を考慮した法定実効税率である38.01%ではなく、これを考慮しない35.64%を用いて税効果会計を適用します(税効果Q&A(案)(注1) Q14)。

(注1)2012年1月13日に「税効果会計に関するQ&A」の改正の公開草案が公表されましたが、本稿執筆時点では、まだ確定していません。本稿では公開草案の内容を前提に解説していますので、今後の改正動向にはご留意ください。

(3) 将来解消見込年度が長期にわたる一時差異に対する税効果

将来解消見込年度が長期にわたる一時差異はスケジューリング可能な一時差異であるため、原則どおり、解消見込年度に応じた法定実効税率を用いて税効果会計を適用すべきと考えられます。

なお、いわゆる会社区分及びただし書きの会社にあっては、将来解消見込年度が長期にわたる将来減算一時差異に係る繰延税金資産の回収可能性に関する取扱いが別途定められているため(繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い 5.(2))、実務上は、簡便的なスケジューリングを行っていたケースもあると考えられます。特に会社区分の会社にあっては、スケジューリングを行っていないケースも考えられます。しかし、今回の税制改正に伴い、将来の年度ごとの法定実効税率が異なることとなったため、少なくとも3カ年のスケジューリングは実施しなければならないことに留意が必要です。

(4) 有価証券評価差額金に対する税効果

その他有価証券の評価差額を評価差益と評価差損に区分することなく、両者を相殺した後の純額の評価差益又は評価差損について繰延税金負債又は繰延税金資産を認識する方法が認められています(その他有価証券評価差額等の税効果の監査上の取扱い 2.後段)。このような方法が認められるのはスケジューリング不能な評価差額に対してのみですので、相殺後の純額に対して税効果会計を適用する際に用いるべき法定実効税率の考え方は、上記(2)のとおりです。

なお、将来に売却が見込まれているその他有価証券の評価差額はスケジューリング可能な一時差異となりますので、原則どおり、売却見込年度(一時差異の解消見込年度)に応じた法定実効税率を適用します。

(5) 土地再評価差額金に対する税効果

再評価に係る繰延税金負債(資産)の金額に異動が生じる場合には、再評価差額金を計上し直すもとのされているため、税率変更に伴う再評価に係る繰延税金負債(資産)の修正差額は、土地再評価差額金に直接加減します(土地再評価差額金会計処理Q&A Q4)。

なお、土地再評価差額金は純資産の一項目であり、その増減は純資産に対する持分所有者との直接的な取引によらない純資産の変動額であり、かつ、上記の土地再評価差額金の増減額は当期純利益又は少数株主損益には含まれないため、当該増減額はその他の包括利益に含まれると考えられます。

(6) 圧縮積立金等に対する税効果

圧縮積立金、特別償却準備金、その他租税特別措置法上の諸準備金は、税効果相当額を控除した純額により処理します。今回の税制改正によって法定実効税率が変更したことによる圧縮積立金等に係る繰延税金負債の修正差額は圧縮積立金等に加減し、損益計算書上は法人税等調整額に含めて処理します(個別税効果実務指針20項)。

(7) グループ法人税制によって税務上繰り延べられた譲渡損益に対する税効果

グループ法人税制によって税務上繰り延べられた譲渡損益は売却元の個別財務諸表における一時差異に該当し、個別財務諸表上、税効果の対象となります。この場合、適用される税率は、当該一時差異の解消が見込まれる期において売却元に適用される税率となります(個別税効果実務指針33-2項)。したがって、解消が見込まれる年度に応じて異なる税率を適用して繰延税金負債(資産)を計算することとなります。

なお、連結財務諸表上は基本的には譲渡損益が消去され、これによって一時差異が消去されることから、繰延税金負債(資産)は認識されません(連結税効果実務指針47項なお書き)。

4. 税制改正が税効果会計に与える影響(連結財務諸表)

(1) 資本連結手続に係る子会社の資産及び負債の時価評価から生じる評価差額に対する税効果

資本連結手続に係る子会社の資産及び負債の時価評価から生じる評価差額は、対応する税効果相当額を控除した純額により、資本として処理します(連結税効果実務指針24項)。今回の税制改正によって子会社の法定実効税率が変更したことよる繰延税金資産(負債)の修正差額は、評価差額の修正とするのではなく、連結損益計算書の法人税等調整額に含めて処理します(連結税効果実務指針25項)。

(2) 未実現利益に対する税効果

連結手続上消去される連結会社相互間の取引から生じた未実現利益に対する税効果は、売却元において当該未実現利益に対して売却年度の課税所得に適用された法定実効税率を使用して計算します(連結税効果実務指針13項)。したがって、2012年3月31日以前開始事業年度における連結会社相互間の取引から生じた未実現利益に対する税効果は、今回の税制改正を考慮しない法定実効税率(たとえば、2012年3月期の取引であれば40.69%)を使用して計算します。

(3) 連結子会社の税効果

繰延税金資産(負債)の計上は個々の連結会社(親会社及び連結子会社)ごとに行うため、資本連結手続やその他の連結手続によって生じた一時差異に対しては、当該差異が発生した連結会社ごとに税効果会計を適用します(連結税効果実務指針10項)。したがって、連結決算日とは異なる決算日の子会社をそのまま連結する場合には、当該子会社は自社の決算日現在における税率を基礎として税効果会計を適用しますが、連結決算日において正規の決算に準じた合理的な手続によって決算を行ったうえで連結する場合には、当該連結決算日現在の税率を基礎として税効果会計を適用します(連結税効果実務指針11項)。

たとえば、連結決算日が2011年12月末の場合において、2011年9月期の子会社をそのまま連結するときには、2011年9月末時点では改正法人税法等が公布されていないことから、当該連結子会社では改正前の税制を前提とした税効果会計を適用します。一方で、当該連結子会社が2011年12月末において正規の決算に準じた合理的な手続によって決算を行ったうえで連結するときには、2011年12月末時点では改正法人税法等が公布されていることから、改正後の税制を前提とした税効果会計を適用します。ただし、この場合であっても、当該連結子会社に改正後の税制が適用されるのは2013年12月期からとなりますので、適用すべき法定実効税率は、2012年12月末までに解消が見込まれる一時差異等に対しては40.69%、2013年12月末から2015年12月末までに解消が見込まれる一時差異等に対しては38.01%、それ以降に解消が見込まれる一時差異等に対しては35.64%となることに留意が必要です。

5. 税制改正が税効果会計に与える影響(四半期財務諸表)

(1) 税効果会計に係る四半期特有の会計処理

四半期特有の会計処理として、税引前四半期純利益に年間の見積実効税率を乗じて税金費用を計算することが認められています(四半期会計基準14項ただし書き)。

今回のように税率変更があった場合の見積実効税率は、以下のように算定します(四半期適用指針19項、中間税効果実務指針10項)。

  • ※1:年間の課税所得を見積り、当期の税率により計算
  • ※2:繰延税金資産(負債)の増減を見積ることで計算される、年間ベースの法人税等調整額

予想年間法人税等調整額を算出するためには、年間ベースでの繰延税金資産(負債)の増減を見積る必要があります。すなわち、当期末に予想される一時差異等を見積り(財務諸表利用者の判断を誤らせない限り、重要な項目に限定することができる)、当該一時差異等の解消見込スケジュールを検討し、当該スケジューリングに基づいて解消見込年度に応じた税率を適用して繰延税金資産(負債)を算出する必要があります。

ただし、四半期開示の迅速性を踏まえた実務上の対応方法として、2011年12月2日を含む事業年度に係る四半期会計期間のうち、同日以後に終了する四半期会計期間においては、期首の一時差異等について、一定の状況(注2) にある場合には、前年度末における繰延税金資産の回収可能性の検討において使用した将来の業績予測、タックス・プランニング、一時差異等のスケジューリングを利用することができます。一定の状況にない場合には、前年度末において使用したものに、経営環境の著しい変化又は一時差異等の大幅な変動による影響を加味したものを使用することができます(四半期税効果の実務上の取扱い Q2)。

(注2)重要な企業結合や事業分離、業績の著しい好転又は悪化、その他経営環境に著しい変化が生じておらず、かつ、一時差異等の発生状況について前年度末から大幅な変動がないと認められる場合

(2) 一時差異等のスケジューリングを適時に行うことができない場合
の税効果

年度決算と同様の方法又は四半期特有の会計処理で税金費用を計算する場合において、適時に一時差異等のスケジューリングを行うことが実務上困難なときには、2011年12月2日以後最初に終了する四半期会計期間に限り、合理的で実態にも即していると考えられる方法により算出した単一の税率によって税金費用を計算することが認められます。単一の税率としては、たとえば以下のようなものが考えられます(四半期税効果の実務上の取扱い Q3)。

  • 繰延税金資産の回収可能性の判断の際に使用した課税所得の見積期間の各期の法定実効税率を単純に平均した税率
  • 一時差異等の項目の主な解消見込時期に対応した法定実効税率(たとえば、一時差異等が、主におおむね3年以内に解消されると見込まれる場合には復興特別法人税額を含む法定実効税率、主におおむね3年を超えて解消すると見込まれる場合には復興特別法人税額を含まない法定実効税率)

なお、この取扱いを適用した場合には、その旨、使用した税率及びその算定方法を注記します。

(3) 重要性が乏しい連結会社における簡便的な会計処理

連結財務諸表における重要性が乏しい連結会社において、経営環境等に著しい変化が生じていない状況の場合には、四半期財務諸表の税金費用の計算にあたり、税引前四半期純利益に、前年度の法人税等の負担率を乗じて計算する方法が認められています(四半期適用指針20項)。

この方法を採用しているケースにおいて、今回のように税率変更があった場合には、当該連結会社の前年度末に計上された繰延税金資産(負債)と同額を四半期貸借対照表に計上することができるものと考えられます(四半期税効果の実務上の取扱い 脚注1)。

6. 税効果会計に関する開示

(1) (連結)財務諸表

法人税等の税率の変更があった場合、以下の注記が追加的に求められます(財規8条の12第1項3号4号、連結財規15条の5第1項3号4号)

  • 法人税等の税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及びその修正額
  • 決算日後に法人税等の税率の変更があった場合には、その内容及び影響
(2) 四半期(連結)財務諸表

四半期(連結)財務諸表においては、年度の(連結)財務諸表のような税効果に関する注記がないため、法人税等の税率の変更があった場合における上記のような注記は求められません。しかし、当該変更による影響が大きい場合には、追加情報の注記(四半期財規22条、四半期連結財規14条)又は重要な後発事象の注記(四半期財規8条、四半期連結財規13条)が求められると考えられます。

7. 貸倒引当金制度の見直しが会計に与える影響示

従来から、貸倒引当金に関する会計上の取扱いと税務上の取扱いは異なっており、今回の税制改正によっても会計上の取扱いは変更されていません。したがって、貸倒引当金制度の見直しによって税金計算には影響が出ますが、会計上は将来減算一時差異が増加することによる繰延税金資産への影響が生じるのみです。

8. 250%定率法の見直しが会計に与える影響

2012年4月1日以後開始事業年度における200%定率法の会計上の取扱いについては、2011年2月24日に日本公認会計士協会から公表された監査・保証実務委員会報告第81号「減価償却に関する当面の監査上の取扱い」の改正の公開草案(注3) (以下、「公開草案」という)が参考になります。なお、以下では当該公開草案を前提に解説していますが、新たに監査上の取扱いが改正されることも想定されますので、今後の動向にはご留意ください。

(注3)2010年12月16日に閣議決定された「平成23年度税制改正大綱」において200%定率法を導入する方針が示されたことから、平成23年度税制改正に係る監査上の取扱い(案)が公表されました。しかし、当該改正部分に係る平成23年度税制改正法案が国会で可決・成立しなかったため、2011年4月12日に改正された監査・保証実務委員会実務指針第81号では、当該監査上の取扱いは削除されています。

(1) 従来から税法規定に準じた減価償却方法を会計上も採用し、今後も採用し続ける場合

従来、法人税法に規定する普通償却限度額を正規の減価償却費として処理している企業においては、以下の償却方法を採用している限り、同一種類で同一用途の資産について類似の減価償却方法を採用するものと認められるため、法令等の改正に伴う変更に準じた正当な理由による会計方針の変更として取り扱われると考えられます。

取得時期 償却方法
2007年3月31日まで 旧定率法
2007年4月1日から2012年3月31日まで 250%定率法
2012年4月1日以後 200%定率法

※2007年度税制改正前の、残存価額を取得価額の10%とした定率法

(2) その他の場合

上記以外の会計方針の変更を行う場合、会計上は法令等の改正に伴う変更に準じた会計方針の変更とは認められず、自発的に会計方針の変更を行うものとして取り扱われると考えられます。つまり、単に法人税法の改正を理由とするだけでは正当な理由に該当せず、変更理由の合理性(変更の適時性等)に留意する必要があると考えられます。たとえば、2012年3月31日までに取得した減価償却資産に旧定率法を継続して採用していた会社が、2012年4月1日以後に取得した減価償却資産に200%定率法を採用するケースが該当すると考えられます。

なお、事業活動、資産の使用状況を勘案した結果、2012年3月31日までに取得した減価償却資産に採用していた減価償却方法(たとえば、250%定率法)を、2012年4月1日以後に取得した減価償却資産にも継続して採用する場合には、会計方針の変更には該当せず、このような方法も認められると考えられます。

以上

太陽ASG有限責任監査法人

公認会計士 中野 秀俊
text : hidetoshi nakano